<卒業の歌1>詞・曲:林 尚美
小学部から高等部まである特別支援学校では、小学部、中学部の卒業の場合、新しい学部になってもまた同じ学校に来るため、「旅立ち」とか「さよなら」とかの言葉があてはまりません。これは、学校の外に旅立たない卒業の歌です。在校生と卒業生が「卒業おめでとう」「みんなにありがとう」とかけあって合唱します。言葉で歌えなくても参加できるように、手話にくわしい先生に簡単な手話の身振りをつけてもらいました。それぞれが自分の想いを込めて、自分なりの参加をしてもらえたら嬉しいです。
(歌詞)
春が来て 風が吹き 雲晴れて 陽が注ぐ
笑顔と笑顔で 心つながった
おめでとう おめでとう 卒業おめでとう
ありがとう ありがとう みんなにありがとう
春が来て 花が咲き 顔上げて 胸を張る
心と心で 勇気わき上がる
おめでとう おめでとう 卒業おめでとう
ありがとう ありがとう みんなにありがとう
ラララララ…
伴奏音源




・歌を覚えるときに、卒業生は「ラーラー ラー…ありがとう ありがとう みんなにありがとう」、在校生は「おめでとう おめでとう 卒業おめでとう ラーラーラー…」と覚えてください。一緒に歌うと合唱になります。
・最後の「ラーラーラー…」は卒業生は卒業生のメロディーで、在校生は在校生のメロディーで歌ってください。ここも合唱になります。
・どうしても卒業生の方が数が少ないので、合唱の声のバランスは悪いのですが、メッセージのやりとりを優先してください。なので、在校生の「ラーラーラー…」は少し控えめの声でお願いします。
・声で歌うのが難しい子は身振りや体を揺するリズムで表現してくれるとうれしいです。もちろん、声で歌いながらの身振りもOKです!
<コラム>
私のいる特別支援学校は、小学部から高等部までの12学年が在籍しています。毎年、小学部と中学部は一緒に卒業式をやっています。ある年、卒業式で歌う歌を見直そうという事になりました。小学部、中学部はそれぞれ同じ学校の上の学部に上がるため、旅立たないし、サヨナラもしない。あまり難しくなく、子どもたちにわかりやすい曲、かといって幼稚園の卒園ソングは歌詞がそぐわない…。式全体が長くなると 子どもたちもしんどいので、短めの曲がいい…。など色々な意見が出されました。そうなると、そんなにぴったりな曲は見つからない。ということで、この歌が生まれました。
できるだけ、みんなが自分のスタイルで参加し、「おめでとう」「ありがとう」の気持ちを表現して欲しいと考えました。掛け合いにしたいけど、何も言わないで待っていることもかえって難しい…ならばはじめから「ラーラーラー…」のところもそういう歌として覚えてもらえば、負担無く覚えられて合唱にできるかもということで、このようなスタイルになりました。
卒業式というのは、本人がその日までがんばって成長してきたことをみんなで認めて喜び合う日。支えてくれた家族、先生、友だち、地域の方々など、たくさんの人 と成長を喜び合う日、感謝を伝える日。歌詞の中の「みんなにありがとう」は一言ですが、そんな想いをこめました。ゆっくりのバラード、毎年の卒業式には、子どもたちも先生たちも、優しい顔で体を揺らしながら歌ってくれます。