口笛吹けば

<笛>詞・曲:林 尚美

ふえ

吹いて音を出す楽器の歌です。
前半は合いの手のように短く、後半は歌のリズムを意識して少し長めの息で吹いてください。リコーダー、ホイッスル、スライドホイッスル、カズ-など、なんでも良いです。楽しく吹いてみましょう。

(歌詞)
口笛吹けば 空は晴れて あたたかいお日様ふりそそぐよ
口笛吹いて 風も吹いて 心もウキウキ 楽しくなる
ルルラーラーランランラン ルルラーラーランランラン
ルルラーラーランランランランラーラーラー

口笛吹けば楽譜
口笛吹けば 色楽譜

・思わず吹きたくなる、わかりやすいタイミングと考えて前半は合いの手にしました。後半は息をつないで長い音を出すこと、リズムを意識して吹くことがやりやすい様に工夫しました。
・言葉の発声、発音がうまく出来ない子、食べる時の食べ物の取り込みや飲み物をこぼさずに飲む事が難しい子などは、口や呼吸器の機能がまだ良く育っていな い事が考えられます。吹いて音を出す楽器は、口や呼吸器の機能を高めるのに、とっても役に立ちます。笛を吹くには、吹き口をくわえ、息が漏れないようにふさぎ、適当な量の息を吹き込むことが必要です。笛をくわえる事で唇の筋肉が鍛えられます。リズムに合わせて吹き込む事、音をながーく延ばす事、吹く強さを加減する事は言葉をしゃべる時の呼気の調節の練習になります。吹き続ける事で肺活量も増えていきます。笛の良いところは、それができているかどうかが、音になって返って来ることです。良い音を出そうとするだけで、そういう練習ができてしまうのです。はじめは音が出なかったり、強くピッと鳴ってしまって続かなかったりするかも知れませんが、くわえやすいラッパや、少しの息でも音が出やすい駄菓子屋さんのトロンボーンなど、なんとか音が出せるところからはじめてみましょう。カズーや水笛、笛ガムや笛ラムネなんかもおもしろいですね。リコーダーの頭の部分だけを取り外して吹くのも良いです。コップに水を少し入れて、ストローで息を吹き込んでブクブクするのも面白いですね!そう思って、まみちゃんにストローをさしたコップを見せたら、すぐにストローをくわえ、水を飲んでしまいました!そうだよねえ!!
・口の機能を高める最大のチャンスは食事です。食べ物を取り込む時に、唇をスプーンに沿わせたり閉じてから飲み込んだり、ストローに唇を密着させて飲んだり…。毎日の食事の中でほんの数回ずつでも意識して取り組んでいくことで、口の機能が高まっていきます。それに伴って楽器を吹くのが上手になったり、しゃべることが上手になったりしていきますよ!

<コラム>

 香ちゃんは歌が大好き。だけど、自分ではおしゃべりもまだあまり上手にできません。飲み物もコップではうまく飲めず、口からこぼれてしまいます。笛を吹くことで口を使う機会を多く持とうと、個別課題の中に笛を吹く活動を取り入れました。笛は100円均一で買ったパンフルートのような形の薄い笛。軽い息でも音が出ます。香ちゃんがよく知っている「線路は続くよ」の歌に合わせてフレーズごとに合いの手を入れるように伝えたら、とても気に入って一生懸命吹いてくれるようになったのです。はじめはうまくくわえられず、息も少しで小さな音でしたが、継続的にやるうちに、強い音が出るようになりました。一曲終わると、「もっかい(もう一回)」と言ってまたやりたいことを伝えてくれます。それでも、ピッと吹くことはできても、長くピーと続けることはなかなかできません。 香ちゃんに長く息を続けることを伝えたくて、この歌を作りました。この歌もとても気に入ってくれて、楽しく笛を吹いてくれます。

 孝くんは口の周りが過敏で、笛をくわえることさえ拒否。息を吹き込むなんて、ぜんぜん出来ない状況です。音楽の授業でこの曲を取り上げたとき、回りの友 だちが楽しく吹く中、孝くんはぜんぜんやろうとしないばかりが、笛を見ると固く口を閉じてプイッとそっぽを向いてしまいます。それでも授業のたびに笛を渡し、怖い物ではないこと、口にくわえて吹くものだということを伝え続けました。この単元は今日でおしまいという授業の時、はじめて自分で笛を口に持っていってくわえてくれたのです!これは大きな進歩!音楽の授業なん だからと音を出す ことだけに教員の観点をもったら、「吹けないのなら違う楽器で代用したら?」という考えも浮かぶでしょう。しかし、口の機能を育て、口で音をだすこと、息 を自分でコントロールする ことを学ぶために笛を吹くという目標を持っていたら、アプローチは決まってきます。今年、自分で口にくわえてくれたことは大変な成果です。今度はくわえた時にタイミング良く息を吹き込んで音を出してくれるように促していきます。